執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。
<記事の概要>
自社のオフィシャルサイトにも求人募集情報を常時掲載しておくことは、非常に有益です。その場合、『職業安定法』に則った掲載が必要になります。そのポイントをまとめました。目 次
1苦戦する企業の求人募集活動
昨年12月の厚労省の数値では、一般職業紹介の有効求人倍率は1.63倍。新規求人倍率は2.41倍となっています。中でも、正社員有効求人倍率は1.15。前月を0.02ポイント上回ったという数字が発表されました。(2018年12月時点)
有効求人倍率とは経済指標のひとつであり、1人あたりに、何件の求人があるかを示すものです。一般的に求人倍率が高い社会は、企業がより多くの労働者を求めているということであり、それだけ経済に活気があると評価されます。
下記のグラフをご覧いただくと分かる通り、平成21年(2009年)に急激に落ち込んだ有効求人倍率は徐々に復活し、平成30年(2018年)頃より高め安定の水準を保ち続けています。
引用:一般職業紹介状況
そこで、現在、大きな課題となっているのが企業の人手不足です。売り手市場となった採用市場においては、なかなか労働者が集まらない職種や企業における労働者募集活動(以下、求人募集)は、死活問題です。
弊社のお客様も、定期的に起こる求人募集活動に翻弄され、多額のコストと手間をかけざるをえない企業が増えています。ここ1〜2年は、どこにいっても労働者の採用問題についての相談が数多く寄せられます。
そこで、頼みの綱が労働者を募集する求人募集のネットチャネルです。
中小企業の経営者(および、人事担当者)は、大手企業が提供するリクルートポータルサイトをはじめ、様々なチャネルを使いながら求人募集に精を出す姿が見受けられます。
そんなあまたある求人募集チャネルの中で、自社のオフィシャルサイトに求人募集を掲載する企業も増えてきました。なかなか、自社のオフィシャルサイトから面接希望者からのお問い合わせを受けるのはハードルが高く、即効性を求めるのであれば、既存のリクルートポータルサイトを活用するのが手っ取り早いです。
2労働条件の明示が必要なタイミング
平成30年(2018年)1月1日、職業安定法の改正が施行され、労働者の募集や求人申し込みの制度が変わりました。改正の中身は、大きく変更があったというよりは、これまで曖昧になっていた求人情報の掲載内容が、より厳格にされたという事です。
よって、これまでなんとなくインターネットに掲載していた求人情報も、注意が必要になります。これは、インターネットに求人情報を掲載する全ての企業が対象になりますので、この機会にチェックしておくと良いと思います。
参考サイト
まずは、インターネット上に求人情報を掲載する場合には、以下のように労働条件を明示することが必要です。改めて確認してきたいと思います。
また、最初に明示した労働条件が変更される場合には、変更内容について明示しなければなりません。面接などの過程で労働条件に変更があった場合にも、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要です。
そして、労働契約締結時にも『労働基準法』に基づき、労働条件通知書などで労働条件を通知することが必要になります。厚労省のページには、モデル労働条件通知書がありますので参考にしてください。
モデル労働条件通知書
3最低限明示しなければならない労働条件
ここからは、インターネット上に求人情報を掲載する際に、最低限明示しなければならない項目や内容についてまとめていきます。
インターネットおよび、書面にて求人情報を掲載する場合には、以下の事項を明示しなければなりません。ただし、(書面にての明示の場合)求職者が希望する場合には、電子メールによる明示でも可能です。ここがもっとも重要なポイントなのでご参考ください。
今回の法改正で追加された項目がいくつかありますのでご注意下さい。
※が今回の改正で追加された項目です。
<記載が必要な項目と記載例>
②□□手当(時間外労働の有無に関わらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)
③○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
4労働条件明示に当たって遵守すべき事項
労働条件を明示するにあたっては職業安定法に基づく指針などを遵守しなければなりません。労働条件を記載するさいのポイントを以下にまとめます。
職業安定法に基づく指針等の主な内容
5労働条件の明示の変更について
なお、途中で労働条件が変更になった場合には、以下のとおり変更明示が必要になります。それぞれのケースによって異なるので参考例を元に変更明示を行わなければなりません。また、変更明示は、求職者が適切に理解できるような方法で行う必要があり、口頭でかんたんにすませるようなことはあってはなりません。
また、当初の明示を安易に変更するような事があってはならず、学校卒業見込みの内定者などについては、書面などで適切に行わなければなりません。
もしも、変更明示が適切に行われなかった場合には、行政による指導監督や罰則などの対象になる場合があります。
1.当初の明示と異なる労働条件の変更明示
例:当初 基本給30万円/月 ⇒ 基本給 28万円/月
例:当初 基本給25万円〜30万円/月 ⇒ 基本給 28万円/月
2.当初の明示から労働条件を削除する場合
例:当初 基本給25万円/月、営業手当 3万円/月 ⇒ 基本給 25万円/月
3.当初の明示から労働条件を追加する場合
例:当初 基本給25万円/月 ⇒ 基本給 25万円/月、営業手当 3万円/月
その他、変更明示を行う際には、労働者が変更内容を認識した上で、労働契約を締結するかどうか考える時間が確保されるよう、労働条件等が確定した後、可能な限り速やかに変更明示をしなければなりません。
また、求職者から、変更した理由について質問をされた場合には、適切に説明を行う必要があります。
もちろん、インターネット上に求人情報を掲載している場合など、当初明示した労働条件の変更を行った場合には、できるだけ速やかに変更明示を行う事が必要になりますので注意しましょう。
6労働条件の明示に関する相談
なお、これら職業安定法の改正および、労働条件の明示に関する相談は、各都道府県の労働局需給調整事務室に相談ができます。厚労省のサイトでは下記のように紹介されていますので不明な点はこちらに相談するようにしましょう。
参考資料
北海道 需給調整事業課(TEL:011-738-1015)
青森 需給調整事業室(TEL:017-721-2000)
岩手 需給調整事業室(TEL:019-604-3004)
宮城 需給調整事業課(TEL:022-292-6071)
秋田 需給調整事業室(TEL:018-883-0007)
山形 需給調整事業室(TEL:023-626-6109)
福島 需給調整事業室(TEL:024-529-5746)
関東甲信越エリア
茨城 需給調整事業室(TEL:029-224-6239)
栃木 需給調整事業室(TEL:028-610-3556)
群馬 需給調整事業室(TEL:027-210-5105)
埼玉 需給調整事業課(TEL:048-600-6211)
千葉 需給調整事業課(TEL:043-221-550)
東京 需給調整事業第一課(TEL:03-3452-1472)
東京 需給調整事業第二課(TEL:03-3452-1474)
神奈川 需給調整事業課(TEL:045-650-2810)
新潟 需給調整事業室(TEL:025-288-3510)
富山 需給調整事業室(TEL:076-432-2718)
石川 需給調整事業室(TEL:076-265-4435)
福井 需給調整事業室(TEL:0776-26-8617)
山梨 需給調整事業室(TEL:055-225-2862)
長野 需給調整事業室(TEL:026-226-0864)
中部・近畿エリア
岐阜 需給調整事業室(TEL:058-245-1312)
静岡 需給調整事業課(TEL:054-271-9980)
愛知 需給調整事業第一課(TEL:052-219-5587)
三重 需給調整事業室(TEL:059-226-2165)
滋賀 需給調整事業室(TEL:077-526-8617)
京都 需給調整事業課(TEL:075-241-3225)
大阪 需給調整事業第一課(TEL:06-4790-6303)
兵庫 需給調整事業課(TEL:078-367-0831)
奈良 需給調整事業室(TEL:0742-32-0208)
和歌山 需給調整事業室(TEL:073-488-1160)
中国エリア
鳥取 職業安定課(TEL:0857-29-1707)
島根 職業安定課(TEL:0852-20-7017)
岡山 需給調整事業室(TEL:086-801-5110)
広島 需給調整事業課(TEL:082-511-1066)
山口 需給調整事業室(TEL:083-995-0385)
四国エリア
徳島 需給調整事業室(TEL:088-611-5386)
香川 需給調整事業室(TEL:087-806-0010)
愛媛 需給調整事業室(TEL:089-943-5833)
高知 職業安定課(TEL:088-885-6051)
九州・沖縄エリア
福岡 需給調整事業課(TEL:092-434-9711)
佐賀 需給調整事業室(TEL:0952-32-7219)
長崎 需給調整事業室(TEL:095-801-0045)
熊本 需給調整事業室(TEL:096-211-1731)
大分 需給調整事業室(TEL:097-535-2095)
宮崎 需給調整事業室(TEL:0985-38-8823)
鹿児島 需給調整事業室(TEL:099-803-7111)
沖縄 需給調整事業室(TEL:098-868-1637)