執筆者:後藤ようこ
制作会社選びパンフレット・カタログ制作で失敗しない制作会社の選び方 6つのポイント
- 2023年02月12日
- ノウハウ
執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。
<記事の概要>
パンフレットやカタログ制作で失敗しないデザイン制作会社の選び方を6つの視点でまとめています。業者選びに、ぜひご参考ください。目 次
1パンフレット制作は制作会社選びから始まる
こんなお悩みはありませんか?
◉デザイン会社はどうやって選べば良いか分からない。
◉自分が希望するデザインのイメージが合わなかったらどうしよう。
◉パンフレットやカタログのデザインを外注したことが無いのでよく分からない。
意外に、こんなお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいます。
当社は、約27年間にわたり、パンフレットやカタログ制作を専門として業務を行ってきました。お付き合いした顧客の数は数千社に及びます。(弊社の実績は、お客様の感想をまとめた『リアルな声』を御覧ください。生の声をそのままアップしています。別ウィンドウで開きます。)
これまで、このようなお悩みをお持ちの方と、数々のお取引を行ってまいりました。
ビジネスをする上で、営業に使用するパンフレットやカタログ、名刺、チラシは必要不可欠なものです。
起業する際には、これらを一通り準備する必要があります。また、日頃の営業活動でも、これら販促ツールを用いてセールスすることが多いでしょう。
これらは、主に販促ツールと呼ばれますが、この記事ではパンフレット制作に絞って解説していきたいと思います。
まず、パンフレットを制作する際には、制作会社選びから始まります。最近では、CANVA(キャンバ)のように、自分でデザインできる無料のウェブサービスもありますが、商用のパンフレットを準備する際にはあまりオススメしていません。
特に、高額商材の商品やサービスを真剣に販売するのであれば、ユーザーへの信頼度を高めなければなりません。よって、できるだけプロに依頼した方が良いと思います。パンフレットの内容によって、その商品やサービスの売り上げが左右されるからです。
しかし、大きな予算はかけられないというのが本音では無いでしょうか?でも、品質の悪いものは作りたくない。
誰もが、この感情のせめぎあいに苦しみます。
よって、制作会社選びに慎重にならざるを得ないのです。
本当に制作会社選びは難しいですよね。失敗したらどうしよう・・・と慎重になってしまいます。
そこで今回は、私たち制作会社の視点から「失敗しない制作会社の選び方」を考えていきたいと思います。
餅は餅屋。
制作会社のことは制作会社が一番よくわかっています。
出来るだけ皆様の立場に立って、フラットな視点でポイントをまとめてみたいと思います。
最終的に、弊社に注文してください、という事ではありません。弊社が長年、この業界で商売をして知り得たノウハウを、皆様と共有していきたいと思っています。この記事を読み終えた頃には、少し気持ちが軽くなっているかもしれません。ぜひ、最後までお読みください。
2ポイント1:制作実績を見よう
インターネットが普及する前は、NTTのタウンページというものがありました。業種ごとに分かれた電話帳で、1件1件電話をかけて探すスタイルでした。そんな中、大きめの広告枠を掲載している企業は有利でしたね。
しかし現在の業者探しは、インターネットに置きかわりました。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで制作会社のホームページを検索したり、ツイッターやインスタグラムなどのSNSで見つけたりと、ネット空間で検索する人ばかりでしょう。
そのため、制作会社側も自社のホームページやSNSを一生懸命工夫しています。
当然のことですが、制作会社はオファーをもらうために「いいこと」を言います。 営業トークも饒舌で、ホームページにも「いいこと」がたくさん書いてあるかもしれません。
「他社に比べてこんなに優れている」
「効果的な企画を行います」
などなど・・・
もしかしたら、オファーをもらうためには、多少大げさに表現するかもしれません。 もちろん嘘はいけませんが、それ自体は通常の営業活動であり、ビジネス上では当然のことです。
しかし、買い手である皆さんは、それらの宣伝文句を鵜呑みにするわけにはいきません。
それでは、実力のある良い制作会社さんを見極めるにはどうすれば良いでしょうか。
注文前に仕上りを見る事はできませんが、過去の品質を確認することはできます。いくら立派なことを言っていても、そのことが制作実績に反映されていなければ実力のある制作会社とは言えません。
実績を評価する際には、以下の3つの視点で確認してみましょう。
デザインを見る
まずは、自分が望むようなデザインの実績があるか見ましょう。 また、レパートリーに富んだデザインをしているかどうかも重要です。 デザインには正解や決まりはありません。 様々なデザインの実績があると言う事は、それだけお客の要望に柔軟に合わせることができ、デザインの引き出しを多く持っているということです。
見た目が同じ様なデザインばかりが並んでいるようであれば、デザインのテンプレートなどを使用しているかもしれません。オーダーメイドの制作を依頼したい場合は、テンプレートではないか確認しましょう。
誌面構成を見る
パンフレットレットは、どうしてもデザインにばかりに目がいきがちです。
しかし、本当はデザインよりもコンテンツの方が重要です。
商品やサービスの魅力を伝えるために、どんなコンテンツを掲載すべきか、そのコンテンツをどんなレイアウトで伝えるのかが大切なのです。
レイアウトのバリエーションが豊富で、説得力のある構成で作られた実績が多い制作会社は実力のあるところです。
制作実績の数を見る
制作会社の実力は実績数に表れます。 実力が伴っていなければ、多くの注文を得る事ができないからです。 多くの実績があるということは、多くのお客から支持を得ている証拠となります。 また、顧客と機密保持契約を結んでいるため、実績を見せられない場合もあります。その場合でも、どれくらいの実績があるのか質問してみましょう。
3ポイント2:見積書をよくみよう
次に見積金額で確認したいポイントを説明します。
ポイントは以下の5つです。
制作金額
誰でも、出来るだけコストを抑えて制作したいと思っています。
まして起業時は、限られた予算内でいろんな事をこなさなければなりません。
長く続いたデフレ経済下では、販促ツールの制作料金も価格破壊が起きました。
そのため、中には驚くほどの低価格の料金を提示してくる制作会社もあるかもしれません。
しかし、低料金=最良ではありません。
販促ツールは「どれだけ安く作ったか」で評価されるものではなく、「どれだけ販促効果を生み出したか」で評価されるべきものだからです。安いコストで作って販促効果が生み出されなければ、かけたコストが無駄になリます。
通常、商品の価格とは①性能②品質③価値で決まります。
ですから、安くて高品質は矛盾するのです。
「性能・品質・価値」が高ければ、制作費用も高くならなければ辻褄が合わないのです。
まして、高品質な販促ツールは売上というお金を生み出すのですから、みすみす低料金で販売する必要も無いはずです。
低料金の制作金額を提示された場合は、販促効果を加味した制作なのかを確認しましょう。 「安すぎる=効果を生まない」ことを考慮する必要があります。
見積書
当然の事ですが見積書はとても重要です。
売り手と買い手が取り交わす約束になります。
従って、そこに書かれている内容が重要です。
必ずチェックしたいポイントは以下の3つです
料金の内訳と説明が明示されているか
見積書の内容が具体的であれば具体的であるほど、良い制作会社だと言えます。
例えば、
●デザイン料 10万円
●印刷料 10万円
としか書かれていなかったらどうでしょうか。
本来であれば、様々な要素に分けて記載されていなければなりません。
実はこれらは、販促ツール制作時に必ず入る作業項目です。
このように、細分化して作業内容に関する説明と内容ごとの料金が提示されていなければ、後々、トラブルの基になります。
また、この内容の有無の確認なしに、制作料金が安いとか高いとかは判断できません。
低価格の見積書が提示された場合は、これらの作業項目は入っているのか確認をしましょう。そうしないと、後から追加料金が発生します。
複数の料金プランを提示しているか
買い手が求める販促効果は様々です。
販促効果はどうでもよい場合は、低料金で制作しても問題はありませんが、少しでも販促効果を求めるのであれば慎重になるべきです。
ですから、制作会社は低価格だけに重点を置いた料金プランと、販促効果を狙った料金プランなど、複数のプランを提示しておくべきです。そうすれば、買い手は自分の条件に合った制作を依頼する事ができます。
あらかじめ、このようなことに配慮している制作会社は良い制作会社であると言えます。
その他、制作の条件が記載されているか
上記以外でも、確認すべき制作条件がいくつかありますので紹介しておきます。
これらの説明や取り決めがされていないとトラブルの原因になります。
制作会社を選ぶ際には、ついつい制作料金だけをみてしまいがちですが、それだけではいけません。金額だけを見て判断すると、大きなトラブルが発生するリスクが高くなります。
これらは、誰も得しないトラブルです。実力のある制作会社は、これらを見据えて、見積書の提示の段階から先回りした提案をしてくれます。
4ポイント3:電話応対をみよう
販促ツール制作は、制作内容の打ち合わせから始まり、修正箇所や要望の伝達などを重ねながら目的の品質へと近づけていきます。
全ての行程において、買い手と制作会社間の人と人とのコミュニケーションが基本になります。
いくら高い技術を持った制作会社であっても、人とのコミュニケーションがうまくいかない会社では満足のいく結果にはつながりません。
ですから、制作会社選びの初期の段階から、コミュニケーション能力を判断するため電話などで問い合わせしてみることをお勧めいたします。この時の電話対応で、その会社の能力がわかるからです。
「たまたま電話に出た人の対応だけで、会社全体を判断してもいいの?」と心配する必要はありません。
問い合わせ電話の対応をするスタッフは、その会社の「看板や店構え」と同じです。 例えば、いくら素敵な商品を売っているお店であっても、表の看板や店構えが悪くてはお客を呼び込むことはできません。
電話対応が悪いということは電話に出た担当者個人が悪いのではなく、会社そのものの方針や能力、またはスタッフの育成に問題があるのです。 言い換えれば、電話の対応が悪い会社には優れた担当者もいません。
では、電話対応で確認したい3つのポイントを説明します。
要望を聞き出す質問力
買い手側は、必ずしも販促ツールの制作について熟知しているとは限りません。
むしろ、分からないことだらけではないでしょうか。
そのため、様々な悩みや相談を、じょうずに制作会社に伝えられないことも多々あります。
そこで重要になるのが、制作会社側の担当者の質問力です。 優れた担当者は、相手の内に秘めた悩みや相談を上手に引き出します。
ところが、注文を取る事だけを考えた担当者の場合には、その事が全面に出てしまい売り込みが前に出てしまいます。優れた担当者は、相手を上手くリードして話を聞くものです。
要望に対する提案力
悩みや相談を聞き出した後は、それに対する解決策の提案が必要になります。
優れた担当者は、様々な経験や知識を基に具体的な対策を提案するでしょう。
電話口で多少悩みを解決し、要望が叶う期待感を与えることでしょう。
電話応対が「この会社なら信用できそうだ」「この会社なら叶えてくれそうだ」と感じたら、良い対応と言えるでしょう。
雰囲気・人柄
このポイントは単純です。 電話での話し方が横柄だったり、暗かったりしたら先が思いやられます。 販促ツールを作る過程では、お客様と担当者とのやり取りで進んでいきます。 人対人を考えた時に、担当者の雰囲気や人柄は重要でしょう。
また、人柄のみならず、専門用語などを使わずに、解りやすい言葉で話をしてくれることもポイントです。
専門用語を使っている人が、すごい人と思ってはいけません。 実は専門用語で話をすることは、解りやすい言葉に置き換えて話す事よりも遥かに簡単です。 担当者が考慮しなければならないことは、「何を話したか」ではなく、「どのように伝えたか」です。
5ポイント4:制作会社の販促ツールをみよう
制作会社はホームページやパンフレットを作るプロです。 お客様には「高品質な制作をします。」と言っておきながら、制作会社のホームページやパンフレットの品質が低くてはいけません。
制作会社の実力を一番アピール出来るのは自社のツールです。
実は、お客様の販促ツールを制作する際、品質はお客様の要望に左右されます。 このデザインが最適と思って制作しても、お客様の要望や好みによって、その品質が変わります。つまり、制作実績だけでは制作会社のデザイン力は判断出来ないのです。
必ずしも、プロの基準がお客様にとっての最適とは限らないからです。
その点、制作会社の自社ツールは違います。
ありとあらゆる手段を思い通りに盛り込む事が出来ます。
自社の販促ツールは、制作会社にとっても注文を獲得する重要なツールなのです。 従って、制作会社のホームページやパンフレットこそ、最も実力が発揮された物になっているはずです。
是非、制作会社のホームページをチェックすると同時に、会社案内などのパンフレットを資料請求してみてください。
6ポイント5:制作会社の総合力を見よう
一言で制作会社といっても、提供しているサービスによって違いがあり、大きく以下の5つに分類されます。
これらの分類の中から、どの会社を選べば良いのでしょうか?
結論から言えば、「ホームページと印刷物のデザインと販促企画を行う会社」になります。 実は弊社もこの分類になります。「都合の良いことを言っている」と思われそうですが、納得してもらえる理由を説明します。
販促効果が見込める
販促ツールによる効果を生み出すためには、ホームページだけあれば十分、またはパンフレットがあれば充分とはいきません。
必ずホームページとパンフレットの両輪が必要です。
さらに言えば、名刺や封筒などの細かな印刷物も必要になります。
それぞれの販促ツールをバラバラの制作会社に頼んでいては、煩雑な上に、効果も出にくくなります。
それぞれの販促ツールを単体で考えるのではなく、各ツールの長所を伸ばし短所を補うように連携をさせる必要があります。
各ツールのデザインを統一させることはもちろんのこと、ホームページと印刷物の内容を連携させるよう、様々な企画も必要でしょう。
これらの取組を効果的に行えるのは、「ホームページ」「印刷物」「企画」の全てにおいて精通した制作会社が良いのです。
手間とコストがカットできる
販促ツールごとに別々の制作会社に依頼すると手間がかかります。
各ツールの整合性を保つためには、常に確認や調整が必要だからです。
例えば、地図の情報に変更が出た場合、名刺とチラシとパンフレット、すべてを直さなければなりません。すべて別々の制作会社に依頼していた場合は、3カ所に指示を出さなければならないでしょう。その煩雑さは想像を絶します。
その点、ホームページ、印刷物、企画のすべてを請け負うことができる制作会社の場合には、すべて丸投げすることができます。
パンフレットに掲載した内容を、ホームページにも反映させたり、キャンペーンの企画をチラシとホームページに掲載したり、制作会社にお任せすればいいだけです。
一つの制作会社が受け持つことで、手間が軽減するばかりでなく、コスト削減にもつながります。
7ポイント6:制作会社の業務年数をみよう
最後に、シンプルですが制作会社の「業務年数」について触れておきましょう。
業務年数が長いと言う事は、それだけお客様に支持を得られている結果です。 また、それだけ多くの経験やノウハウを蓄積しているのは間違いないでしょう。
どんな職種でも同じですが、どれだけ立派なことを言っていても、お客様からの評価が得られなければ、その会社は終わりです。
特にデザインや広告業は、他の職種と比べても非常に「起業」と「廃業」が多い業種です。
デザイナーやディレクター、コンサルタントには国家資格や技能試験があるわけではありません。自分で名乗ってしまえば、誰でもプロであり専門家になれます。
さらに、大きな設備投資が必要ないこともあり、起業しやすい条件が整っています。
それゆえ、インターネット上では制作会社や個人事業者があふれています。
一体どれだけの業者がいるのか検討もつきません。 しかし、早いところでは数ヶ月から1年、5年もすればほとんどが廃業してしまいます。 本当の実力を持った制作会社しか生き残れない業種です。
販売促進や広告に関わる仕事とは、他の業種とは違う特徴があります。
それは、『他社の商品やサービスを売り込む手伝いをする』というところです。
普通の業種は自社の売上だけを考えればいいのですが、制作会社の場合は自社の売上だけではなく、お客様の売上も考えなければなりません。
お客様の商品やサービスに関しては専門ではありませんので、市場のことなども良く解らないところからスタートします。お客様の売上を考えることは、自社の売上を考えることよりも難しいのです。
制作会社とは、その様な条件の下でサービスを提供してます。
自社の売上もままならない制作会社が、お客様に販促効果を提供することは出来るはずもありません。
ちなみに、弊社は創業27年目に入りました。 様々なビジネスを取り巻く環境の変化や、広告の流行り廃りにも対応してきました。
多くの知識やノウハウは、実務経験の長さと明らかに比例することは間違いありません。どうぞ、販促ツール制作で失敗しないよう、本コラムをご参考頂ければ幸いです。