執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。
<記事の概要>
『ジャパネットたかた』のテレビショッピングから学ぶ、物売りの基本を6つのポイントにまとめました。目 次
1物売りを一から考えてみる
◉もっと多くの人に自社の商品やサービスを知ってほしい
◉もっと買ってもらえる売り込み手法はないか
商売に携わる人であれば、このような事を、日々考えながらビジネスをしているのではないでしょうか?
世の中には、ありとあらゆるものが出揃い、商品(サービス)販売のフィールドは常在戦場となっています。
その中から、より多くの人に自社製品を選んでもらうためには、血の滲む努力と試行錯誤が必要不可欠な時代です。
当社は、約27年間にわたり、パンフレットやカタログ制作を専門として業務を行ってきました。お付き合いした顧客の数は数千社に及びますが、今でも物売りは試行錯誤の連続です。(弊社の実績は、お客様の感想をまとめた『リアルな声』を御覧ください。こちらには生の声をそのままアップしています。別ウィンドウで開きます。)
そして、これまで、間接的ではありますが、沢山の企業様、様々な業種の方々の物売りのお手伝いをしてきた私達の知識と経験は、時代が変化しても販売戦略に応用・活用できるものが沢山あります。
そんな私達の経験を踏まえ、あらためて『物売り』について分析してみたいと思います。
その題材として選んだのが『ジャパネットたかた』さんです。
『ジャパネットたかた』さんの変わらぬ秀逸な物売りの手法を、みなさんの企業の物売りに応用できるよう、その特徴を6つのポイントにまとめました。
このブログを読むことで、皆様の物売りが、少しでも楽になるよう、ポイントをまとめていますので、ぜひ御覧ください。
2デフレ経済は何をもたらしたのか?
最近のトレンドは『コト売り』。
かつての『物売り』とは少々様子が異なり、宣伝広告のスタイルにも変化が起きています。
戦後、高度経済成長により発展した日本経済はここ数十年で、すっかりデフレ経済に傾きました。『安いことが良いこと、安くしないと売れない』という価格競争がどんどん激化し、この価格競争に巻き込まれた中小企業は、すっかり『物売り』に自信を無くしているようにも見えます。
さて、デフレ経済は何をもたらしたのでしょうか?
一言で言うと、このような事ではないでしょうか?
テレビをつければ激安スーパー特集やお得な旅行プラン、安い宿に泊まれる裏ワザなど、『安い』『安い』『安い』ばかりが並びます。もちろん、安さというのは揺るぎなく購買を掻き立てる必殺技です。
とくに欲しくなかったものでも、安くてお得なものであれば『買っておこう』という意識が芽生えます。(それが本当に必要なものかどうかは別として・・・)
しかし、物を買う側ではなく物を売る側からしたらどうでしょうか。中身や性能を精査されずに、価格だけで評価される世界では、必然的に物売りに苦戦します。
本記事を読んでいる方々は、きっと少なからず物売りに携わる方々でしょう。日々の物売りに、こんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?
時々、世の中は単純にできていると感じることがあります。
例えば、有名人やインフルエンサーが物を売ると、瞬く間に簡単に売れていきます。
知名度と安心感が、そこに付加価値をつけるからです。人々は、いとも簡単に買ってしまいます。
しかし、世の中の中小企業の多くは、有名人やインフルエンサーではありません。
ほとんどが無名で、地道に物売りをする企業体です。
だからこそ、販売促進や営業力強化のサポートを生業にしている私たちは、無名でも、まっとうな商売を真摯に真面目に行っている中小企業の物売りの手助けをしたいと思っています。
黙っても売れていくものよりも、商品やサービスがいいのに、なかなか売れない物を売るお手伝いをして売れた時の方が、嬉しいからです。このスタンスは、何年も変わっていません。
そこで今回のコラムでは、この物売りの困難な世界で、ほんの少しでもヒントになればと思い、物売りの雑感をまとめたいと思います。その題材として、『ジャパネットたかた』のテレビショッピングをベースに解説していきますので、ぜひ、ご参考ください。
3『ジャパネットたかた』は王道の物売り
インターネットが普及し、今朝ネットで注文したものが明日には届けられる、というこの時代において、今時、テレビショッピングとは・・・と思うかもしれません。
しかし、よくよく考えてみてください。
テレビショッピングというのは、ネットが普及する前に、インターネットの代わりをした王道の商品販売方法でした。
私は時々、CS放送などで放送される『ジャパネットたかた』のネットショッピングを観ます。それは商品を買いたいというよりも、売り方の参考にするためです。(もちろん、時々購入します。笑)
あまり観たことの無い方は、時々観てみると良いと思思います。
とても新鮮で物売りの基本に戻れます。
物を買わせる王道の韻を踏みながらも、限られた時間内で無駄のないプレゼンを展開します。
特に、『欲しくなかったものを欲しくさせる』売り方が秀逸だと思います。まさに、数分間のプレゼンテーションで、ニーズをウォンツに変えてしまう手法です。
それでは簡単に、『ジャパネットたかた』の物売りのポイントについて、その雑感をまとめていきましょう。
4戦法1:「どうせ◎◎でしょ。』という疑問を先回りしてつぶす
『ジャパネットたかた』のプレゼン方法は、社員が徹底的に商品を使いこなし、その売り込み方を出しあいながら、最も良い売り込み方を決定すると聞いた事があります。
つまり、社員自体が商品を熟知し、どうすれば売れるかを徹底的に考え抜くのです。
これは、先代の高田社長のやり方だと聞いたことがあります。
これを、販売店側である『ジャパネットたかた』が、客観的視点・俯瞰的視点で商品を見て売り込むことで、客観性が生まれます。肝は『ジャパネットたかた』の社員さんなのです。
この良さは、特に商品の特徴の説明の方法に表れます。
商品の良い点を説明されれば、必ず視聴者は『でも、◎◎なんでしょ』という疑問が沸き起こるはずです。恐らく、『そんな口車に乗せられて、すぐ買うもんか』という抵抗にも似た、心理が働く人もいるかもしれません。
しかし、『ジャパネットたかた』は、視聴者の疑問が出る頃を見計らって、その疑問を打ち砕く説明をいれます。痒いとことに手が届く、そんなやり方です。
タイミングが絶妙で、『今、ちょうどそれを知りたいと思っていた所・・・』
まるで、視聴者の心の声が聴こえてくるようです。
5戦法2:客観的データを示して疑問や不安をつぶす
また、『ジャパネットたかた』の商品プレゼンには、必ずデータ(エビデンス)が用いられます。
客観的な試験データを用いて、分かりやすく数値化して説明してくれます。
決して、堅苦しいデータではありません。
実際に社員達が実験したデータが多く、身体をはって実験しているデータも多いのが特徴です。これで、客観性とリアリティがもたらされ視聴者は説得されてしまいます。
6戦法3:実際に使っている消費者の自然な声を拾う
そして、すっかり物売りの定番となったコンテンツ『お客様の声』。
お客様の声というコンテンツが、物売りの定番演出になってからは、定番の宣伝方法となりましたが、年々、その演出が不自然になり、作られた感が否めなくなっています。
しかし、『ジャパネットたかた』の場合は、『ジャパネットたかた』専用のショールームに訪れた人の生の声をそのまま拾います。時には、その場で交渉し、ユーザーの自宅まで着いて行って自宅でデモンストレーションをしてもらったりします。
例えば、布団用の掃除機を売るとすると、商品をもってユーザーの自宅の布団で試してもらったりする映像が流れます。
そこに、過度な演出も、作られたインタビューもなく、自然に『お客様の声』を拾い上げてみせる所が素晴らしいと思います。
7戦法4:高い値段を示した後で、値引き額を提示する
次に注目したいのは、値段の提示のタイミングです。
当然のごとく、安さという価格のエッセンスは揺るぎないのですが、その価格の提示の仕方というのもポイントです。
最初から、『安いよ』『安いよ』と言えば、そのお得感は生まれません。
価格の提示はできるだけ最後にしています。
最初は通常価格を提示し、「ものがいいから、これくらいはしてしまう」ということを印象づけた後で、『今回だけ下取りセールで、20,000円引き!』と後出しします。。
ユーザーは、「あら、思ったより高いのね」と思った後で、安い価格を出されると、ものすごいお得感を感じてしまいます。
巧妙に、視聴者の心理を掴んだ演出です。
実際、『ジャパネットたかた』の商品の価格をネットで調べると、他のネットショップと変わらない価格になっていることも多いです。逆に、少し高かったりもします。
でも、ここまで来ると、どうせ買うなら『ジャパネットたかた』でいいや・・・となってしまいます。
8戦法5:根拠のある値引き
価格の提示について付け加えると、その値引きの理由もポイントです。
ただ単に値引くだけでは、視聴者は「最初っからその値段でしょ。」と不信感を持ちます。しかし、『下取りで20,000円引き』といった具合に、きちんと値引きの根拠の説明をするのが良い。
根拠の無い値引きは不信感を与えますが、根拠のある値引きはお得感が増すという心理をついています。特に下取りという条件は非常に障壁が低いです。だいたい家電は買い換えるケースが多く、下取りが発生するからです。
9戦法6:時間を切る
そして大事なポイントがもう一つ。
期限を区切ることです。
これは、とても重要です。
『鉄は熱いうちに打て』と言われます。
ニーズがウォンツになった瞬間を逃してはなりません。
元々、そんなに欲しくなかったものが欲しくなっているのですから、時間が経てば、その熱量は冷める確率も高くなります。
『本当に必要かな?』
『買っても使うかしら?』
という検討の間を与えないくらいのタイミングでお得期間を区切ります。
クールダウンするまえに買ってもらいたい。
それが、期限を区切る戦略です。
『◎時まで注文の場合は〜〜』や、『何日までのキャンペーン』というのは、鉄が冷める時間を短くする王道の手段です。ベーシックなやり方ではありますが、王道であることには違いいありません。
10まとめ
ここまで、『ジャパネットたかた』の物売りのポイントを、6つの戦法を簡単にまとめてみました。
これらは、すべて王道でありつつも、非常に消費者目線の販売戦法であるから真似したいものばかりです。
これらの事は、日頃からやっているつもりでも、意外に出来ていないものです。この機会に、もう一度、自社の物売りの戦法を見直してみてはいかがでしょうか?
多くのビジネス活動は、このような物売りから始まるのであって、ここのようなお手本は参考にするとよいと思います。弊社でも物売りのノウハウを持ち合わせています。ご相談はお気軽にお寄せ下さい。
ジャパネットたかた
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