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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

Q&A印刷物の色校正をするべきかどうか迷ったら 〜本機校正と簡易校正では微妙に色味が異なる〜

<記事の概要>

色校正の具体的な内容と種類についてまとめました。色校正には『本機校正』と『簡易校正』の2種類があり、ケースにあわせて選ぶ必要があります。

1かつては印刷前の色校正は定番だった

企業のパンフレットやカタログのデザインが完成し、いよいよ印刷をかける前に、どのような仕上がりになるのか試し刷りをすることを、総称して『色校正』と呼びます。
弊社では、基本見積書には、ほとんど色校正の料金は含まれておりません。特別な希望があるときのみ色校正料金をご提示いたしますので、有料オプションで対応しているという事になります。

色校正昨今、デザインの確認はPDF書類をパソコン上で行う事がほとんどで、その精度はかなり高いため、色校正を行わずに印刷をかけることが主流になっています。これは、コストカットという点でも、多くのお客様に選ばれています。

しかしながら、かつては、色校正を行い印刷にかける事はめずらしくなく、厳密に色味にこだわられるお客様は、印刷会社の工場まで行って、色の確認とチェックを行ったものです。いまでこそ、色校正をカットすることが多くなりましたが、厳密にいえば、かなりリスクの高い工程であるという側面もあることを覚えておきましょう。

例えば、アパレルメーカーやハイブランドメーカーさんは、カタログやパンフレットの印刷をかける際は、必ずといっていいほど色校正を行います。本番印刷前に、色味を正確に表現したい場合など、仕上がりに高い精度を求める方は、できるだけ色校正を行ったほうが安全だからです。

また、色校正は1回のみとは限りません。
1回目の色校正に満足できなかった場合は、2度、3度と繰り返し行うこともあります。

これらは、納期やコストとのバランスになりますが、それほど、色合わせというものは簡単ではないということを表しています。

今回のコラムでは、色校正の具体的な内容と種類について説明してみたいと思います。色校正には『本機校正』と『簡易校正』の2種類があり、それぞれやり方が異なるため、ケースにあわせて選ぶ必要があります。以下の説明を御覧ください。

2本機校正とは

『本機校正』とは、本番の印刷で使用する印刷機で本番に使う印刷紙を使用して試し刷りを行います。紙も機械も同じですので、ほぼ本番印刷と同じ条件下での試し刷りとなります。

この『本機校正』は、できるだけ、実際の紙質にて色味を確認されたい方におすすめする色校正です。例えば、写真集や美術作品など、仕上がりの色味にこだわりのある方や、印刷の仕上がりに高い精度を求められる方は、必ず『本機校正』をお選び下さい。ただし、本機校正は以下に説明する『簡易校正』よりも1 回あたりの費用が高くなります。

よって、ある程度、予算の確保できる方や、絶対に失敗したくない場合などにお選びいただいている色校正となります。

3簡易校正

ここからは、もう一つの色校正の方法である『簡易校正』について説明いたします。

『簡易校正』は、本機校正よりも、もう少し簡単な方法で試し刷りをする方法です。色校正は、本番の印刷機ではなくオンデマンド印刷機、または、(印刷会社の)インクジェットプリンタにて印刷を行います。

これらは、本番の印刷機ではありませんので、色味の再現性があまくなります。
そのため、『簡易校正』は、あくまでも、『念の為の確認』という程度で臨む必要があります。

また、校正紙も本番の紙ではありません。

オンデマンド印刷機での校正紙出力の場合は、実際の紙質に近い用紙に出力します(コート紙・マット紙・上質紙のいずれか)。
インクジェットプリンタでの校正紙出力の場合はインクジェットプリンタ専用紙で出力します(厚手のコート紙またはマット紙など) 。

いずれも本番で使う紙ではありませんのでご注意ください。

『簡易校正』は『本機校正』とは異なる校正のやり方ですので、念の為に確認されたい場合には有効ですが、正確に、実際の色味を確認したい場合は本機色校正を選ぶほうが無難です。

また、『簡易校正』で出力された文字は、実際の印刷と比較すると、若干、文字等が太く印字される傾向にあります。この点をとっても、正確な色校正ではないと想像していただけることでしょう。

しかし、『本機校正』よりも安価に印刷イメージを確認できるというメリットがあります。

4本機校正と簡易校正の具体的な色の違い

それでは、本機校正と簡易校正の色味の違いが、どれくらいあるのかを事例に基づいて説明したいと思います。
下記は、同じ印刷データで本機校正と簡易校正を行った、校正紙です。

色校正

左が『簡易校正』で右が『本機校正』です。
一見、あまり違いがわからないのですが、2枚を比べると、上部の地球の模様(グレー)のところが、簡易校正の方が黄色みがかっています。実際は、薄いグレーのデータなので、右側が正解です。
その他、製品のボディの黒の部分のコントラストが、やはり本機校正紙の方がクッキリとでています。

非常に微妙な違いですが、並べてみるとハッキリみてとれます。
実際、本番ではやはり、本機校正で表現された色味で仕上がります。

5一般のインクジェットプリンターで色味は確認しないでください

次に、もう一つ大切なポイントがあるのでご説明いたします。

『色校正』の代わりに、会社のプリンターなどで色味を確認しないでほしいという事です。
一般的なプリンターと印刷機の出力方法は全く別物です。大きく色味が異なります。

時折、『会社のプリンターで出したら色がおかしい』というお話を聞く場合がありますが、それは当然です。むしろ、仕上がりの色味は、パソコン上でみるPDFの方が近いともいえます。

会社のプリンターは全く違う色にでますので、文字のチェックのみにとどめておく事をおすすめいたします。
やはり、色味が気になる場合には、本機校正か簡易校正を行いチェックすることが必要になります。

以下は、色味の再現性の品質の順番です。ご参考ください。

色校正

6簡易校正にするか本機校正にするか迷ったら

ただし、ここまで読んだうえで、『簡易校正』にするか『本機校正』にするか、はたまた色校正は不要か、悩んでしまうかと思います。
もちろん、本番印刷では絶対に失敗したくない気持ちは、皆、同じです。

そこで、弊社の経験から、色校正をお選びになる方々のお客様の傾向のバロメーターを作成しました。
判断材料の助けになればと思います。

基本的に、色味をシビアに合わせる必要がなければ、色校正なしでも大きな問題は起こりません。しかし、少しでも不安がありましたら、当社までご相談ください。

色校正

後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

後藤 ようこ取締役副社長

スキル

  • ランディング(執筆)
  • ディレクション
  • コンサルティング

大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。

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