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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

文字の工夫ユニバーサルデザインに沿ったパンフレットづくり 〜文字の工夫〜

<記事の概要>

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物制作における、文字の工夫について3つのポイントに沿ってまとめました。

1貴社のパンフレットは、本当に見やすいパンフレットですか?

こんなお悩みはありませんか?

◉様々な人に見やすいパンフレットを作りたい。
◉障害のある人や高齢者にも優しいパンフレットを作りたい。
◉自社のパンフレットは見やすいのか不安に思う。

当社は、約27年間にわたり、パンフレットやカタログ制作、ホームページ制作などを専門として業務を行ってきました。お付き合いした顧客の数は数千社に及びます。(弊社の実績は、お客様の感想をまとめた『リアルな声』を御覧ください。生の声をそのままアップしています。別ウィンドウで開きます。)


パンフレットやカタログは第三者に見てもらい、内容を理解していただき、相手に行動変容してもらうためのツールです。そのため、自分たちの伝えたい事が正しく、正確に伝わるのはもちろんのこと、『欲しい』『買いたい』と思ってもらわなければなりません。

しかし、世の中にはパンフレットを簡単に読み解ける人、読み解きにくい人などが存在します。ですから、これらを十分加味した構造になっていなければなりません。

このブログでは、このように、どんなハンディキャップをもっている人でも、できるだけ読みやすいパンフレットにするための紙面づくりの工夫についてまとめています。折角、作成するパンフレットです。ユーザービリティに優れたパンフレットになるよう、みなさんと情報共有したいと思います。5本の記事に分けて解説していますので、ぜひお読みください。

2UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した文字の工夫

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮したパンフレット作りで、最も気をつけなければならないのが「文字」の工夫です。文字の工夫しだいで、そのパンフレットのみやすさ、わかり易さが大きく変わります。

別のコラムで、世の中にはさまざまな障害を持つ方々がいることを説明しました。大切なことなので、再度、以下に掲載いたします。

視覚障害者

弱視者は周囲の明るさや対象物のコントラスト等の状況によって、同じものでも見え方が異なる場合があります。そのほか、視野の欠損により周囲の情報を十分にとらえられなかったり、視野の中心の暗点により見えにくい方がいたりと、さまざまな障害を持っている人がいます。

色弱者

色弱者の大部分が「赤~緑」の波長域の見分けがつきづらく、濃い赤が黒に見えることがあります。ほかにも、明度や彩度の近い色の識別が困難です。色弱者は、男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合でいると言われています。(全国では300万人以上いる)

高齢者

40歳代以上になると視力の変化を自覚するようになります。その後、加齢とともに色覚機能も低下していきます。黄系や青系の感度が鈍くなり、コントラストに対する感度も低下します。また、白内障になると視野が白濁し、すりガラス越しのような見え方になります。

聴覚障害者

早い段階で失聴した場合、言語を習得する前から聴覚障害を発症してしまうため、複雑な表現や難しい漢字などを理解することが苦手な人がいます。

知的障害者

知的機能の障害があり、複雑な表現や難しい漢字などを理解することが苦手な人がいます。

精神障害者

統合失調症、気分障害、てんかん等の精神疾患を抱えている人は、ストレスに弱く疲れやすい傾向にあります。そのため、物事の内容を理解するのに時間がかかる人がいます。

発達障害者

複数の情報に同時に処理し、全体の意味を把握することが苦手な人がいます。しかしそんな方は、特定の物事を理解するのは得意だったりします。このように、ご自身の能力にアンバランスさを抱えている人がいます。

子ども

年齢によっては複雑な表現や、教えられていない漢字などを理解することができません。

外国人

母国語が日本語でない場合、複雑な表現や難しい漢字などがわかりにくいことがあります。

上記のようなハンディキャップをお持ちの方のためにも、できるだけ見やすく分かりやすい文字の配置を工夫する必要があります。これらは、少しの工夫で実現できるものばかりです。以下にポイントをまとめましたので、参考にしてください。

3文字の大きさ

文字の大きさは12ポイント以上にしよう

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物(カタログやパンフレット等)を作成する際には、文字の大きさは、12ポイント以上*になるようにしたほうが良いと言われています。(A4サイズの誌面で作成する場合の目安)

しかし、誌面の大きさによって変わりますので、あくまでも目安です。

A2サイズのポスターでは12ポイントは小さいでしょう。
12ポイント以上にしたいのは、あくまでもA4サイズの場合と考えてください。
また、A4サイズの誌面の場合、より見えやすくしたい場合は14ポイント以上にすると良いでしょう。

文言を吟味しよう

しかし、チラシなどを見たことがある人なら分かると思いますが、12ポイントの文字サイズとは、想像以上に大きいサイズです。

そのため、誌面の中に盛り込むと必然的に盛り込める文字数が少なくなります。ですから、文章をしっかり精査して簡潔な文章にする必要があります。大きなサイズの文字を紙面いっぱいにギュウギュウつめこむと、かえって見にくくなりますので注意しましょう。

必要な文言を吟味して、大きめの文字で簡潔に誌面を構成すること。
これがUD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物を作る時の基本姿勢です。

ユニバーサルデザイン 文字の工夫

4字体の種類

ゴシック体を選ぼう

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した字体を選ぶ際には「ゴシック体」で構成するほうが良いとされています。「ゴシック体」は、文字の太さが均一なので、どんな方でも読みやすいという特徴があります。

特に、小さな文字を使わなければならない場合は「明朝体」よりも「ゴシック体」の方が読みやすいです。

ただし、これらは短い文章の場合に限って言えることです。
長文の場合は明朝体の方が読みやすくなりますので使い分けましょう。

UDフォントを使用しよう

その他に、UDフォント*というものがあります。
UDフォント(書体)は、ユニバーサルデザインを前提にデザインされた書体ですので、さらに読みやすくなります。UDにこだわりたい場合はUDフォントを採用する必要があります。

UDフォントで構成された紙面が、より好ましいと言えます。

*UDフォントとは、老眼や白内障などにより視力が低下した人や弱視の人でも読みやすく、誤読しにくいようにデザインされたフォント(書体)

ユニバーサルデザイン 文字の工夫

5字間・行間・余白

適度な余白が鍵

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物(カタログやパンフレット等)制作では、フォント(書体)の字間と行間と余白も重要です。

フォント(書体)については、こだわられる方はいますが、意外に字間と行間と余白については気にしないケースもあります。しかし、字間と行間と余白はとても大切な事です。

特に、失敗してしまいがちなのが、スペースを惜しんで情報を詰め込みすぎてしまうことです。

文字を詰め込みすぎると、字間と行間が詰まってしまうため、読みにくい文章になります。きちんと情報を整理して簡潔な文章にした上で、字間と行間を詰めすぎないようにしましょう。

適度な空間、空白をとるように心がけましょう。

ユニバーサルデザイン 文字の工夫

6まとめ

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物(カタログやパンフレット等)は、上記のようにちょっとした配慮で実現することができます。すぐにでも実践にとりいれてみることをおすすめいたします。

また、文字のサイズや字間・行間を大きめにとると、必然的に誌面に入る文章の量が制限されます。

例えば、14ポイントの文字サイズをメインに使うとすると、A4サイズ1枚に入る文字数は、500文字〜600文字程度です。左記の画像はA4サイズに14ポイントの文字を並べた状態です。パンパンに詰めて600文字弱になります。

その他、写真やグラフ、図、イラストなどを入れようとすると、さらに入る文字の量が少なくなります。よって、UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した誌面にする場合は、掲載する文章(文言)をしっかり考え、無駄のない文章表現にする必要がありますので注意しましょう。

7参考文献

なお、本記事は以下の『わかりやすい印刷物のつくり方 ~ユニバーサルデザインの視点から~』を参考にしてまとめています。

わかりやすい印刷物のつくり方 ~ユニバーサルデザインの視点から~

8UD検定に合格したデザイナーがアドバイス制作をします!

ユニバーサルデザインをご希望される場合は、UD検定(※1)に合格したデザイナーが制作させていただきます。
制作物のご用途やお使いになるユーザーの傾向をお伺いし、言葉や図の効果的な使い方、色の組み合わせ、書体の選定など、ユニバーサルデザインにそったアドバイスをさせていただき、お客様に合わせて制作いたします。

UD検定
※1) UD検定・初級 認定番号 第000960号 国際ユニヴァーサルデザイン協議会【IAUD】
https://www.iaud.net/

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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

後藤 ようこ取締役副社長

スキル

  • ランディング(執筆)
  • ディレクション
  • コンサルティング

大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。

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