執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。
<記事の概要>
価格を下げるのではなく、価値をあげる。多くのお客様に引き寄せてもらう基本的な戦略です。浜口隆則さんの著書『だれかに話したくなる会社』にある、このフレーズは当社の基本概念です。目 次
120年間、脱下請け
最近、あるメディアで経営コンサルタントの浜口隆則さんという方を知りました。
浜口隆則さんは経営コンサルタントで、主に小さな会社のブランド戦略を提案することを生業にしている方です。なぜ彼に興味が湧いたかというと、彼が出版された著書『だれかに話したくなる会社』という書籍のタイトルが、とても興味深かったからです。
なんと、素晴らしいネーミングなのかと感じました。
何を隠そう、我々、株式会社ノーブランドも、創業当時から『小さな企業のブランド化』について考えてきた会社です。当社は、おかげさまで創業20年という長い間、この業界でビジネスをさせていただいていますが、創業当時は、様々な苦労がありました。
この大きな命題は、創業から20年経過した、今もなお考え尽きる事はありません。
我々のような小さな制作会社は、大手広告代理店からお仕事をいただき、下請けでやっていくのが鉄則です。しかし、私たちはその道を選んではきていません。最初から、『脱下請け』なのです。
決して、褒められた事ではないでしょう。
安定した経営を望むのであれば、大きな元請け企業から定期的な仕事をいただくほうが楽ですし安定します。しかし、完全な元請け⇔下請け関係に頼り切ったら、会社の生命線は常に誰かの手の中にあるという状況になってしまいます。
よって、私たちは、下請け業務に頼らず、自分たちで仕事をとってくる道を選び、ここまでやってきました。
そして、知名度のない小さな会社が20年間培ってきた一つの戦略。
それが、小さな会社のブランド創りです。
この考え方が浜口隆則さんの著書『だれかに話したくなる会社』というタイトルが合致したのです。
我々と、同じような考えを持ち、世の中に小さな企業のブランド戦略を推進しているコンサルタントさんの存在に、とても勇気づけられました。
実際の著書は、とても読みやすく分かりやすいので、購入していただき読んでいただきたいのですが、その著書の中から、少しだけご紹介をさせていただきます。私たちが20年間やってきたことの裏付けにもなりますので、ぜひ多くの方に知っていただければと思います。
2無くなったら困る会社を目指す
著書の中には、浜口隆則さんがおすすめする、ブランド化に成功している中小企業がいくつか紹介されています。
ほとんどが知らない企業ではありましたが、彼らが目指しているブランド戦略を読んでいるだけで、ぜひ詳しく知ってみたい企業ばかりでした。
ここまで書いて、『ブランド化』という言葉を何度も使いましたが、いったい『ブランド化』とはどういうことか?という部分は、若干あいまいに感じるかもしれません。
しかし、この『ブランド化』という言葉には、たいして大きな意味がある訳ではないのです。
強いて言えば、“無くなったら困るよね”と言われる価値のある会社とでもいいましょうか。この言葉は、浜口隆則さんの著書の中にワンフレーズとして出てきていて、この言葉がとても気に入ったので、本ブログにも使わせていただきました。
そうです。“無くなったら困るよね”と思わせる会社とは、まさにユニークな存在であることを意味しています。
子どもにとってみたら、両親はいなくなったら困る存在です。夫婦で例えてもパートーナーはいなくなったら困る存在でしょう。無くなったら困るという存在は、もうちょっと言い換えれば、代用の聞かない存在という事です。顧客から、このように思われる会社というのは、なんと価値のある会社なのだろうかと思うのです。
そして、この立ち位置を、『小さな会社』こそが確立しなければならないのです。
会社経営というのは、起業することが始まりではありますが、最終的には『事業継続』が最も大事な大命題になっていきます。しかし、この事業継続ほど難しいものはありません。
10年持たない会社が乱立する、この時代だからこそ、“無くなったら困る”小さな会社を目指すべきなのです。
3お客様に発見してもらうプル型の宣伝広告
あともう一つ、著書の中で共鳴した部分があります。
それは、現在の宣伝広告の形がプッシュ型からプル型に変わったという内容です。
プッシュ型とというのは、企業側から積極的に営業をして顧客に存在を知ってもらう宣伝の仕方です。大手企業であれば、テレビCMや雑誌広告などが、その典型ですし、その他には電話営業や訪問営業などもプッシュ型に含まれるでしょう。
しかし、最近の宣伝広告は『プル型』です。
プル型とは、巨大な情報網であるインターネットの中から、顧客に選んでもらう宣伝の仕方です。ネット広告やウェブサイト戦略などがプル型の代表格になります。
全くその通りですね。
自分たちの生活スタイルを振り返って見ても、企業選びはネットから始めるというスタイルが定着しています。逆をかえせば、インターネットがあれば、だいたいの商取引が完了するという事です。こうなると、他の宣伝媒体は、その効力が薄まります。
そこで大切なのが、選んでもらう(プル)ためのウェブサイト運営・構築の重要性です。
どんなに小さな企業であっても、ウェブサイトという土俵の上では、台頭に渡り合えるのです。
これは、私たち自身が20年間やってきた営業方法の屋台骨でもありますので、心の底から実感しています。
そして、これからもより一層、このプル型の宣伝広告は力を増していくことでしょう。よって、小さな企業ほど、ネット戦略に力を入れる必要があるのです。
4愛される会社づくり
最後に、浜口隆則さんの著書『だれかに話したくなる会社』の中で、最も心に響いたフレーズをご紹介します。それは、『末永く愛される会社づくり』というフレーズです。
まるで、結婚式のスピーチの時のような言葉です。このフレーズの中には、それだけ奥深く、大切な意味が込められています。
公益法人でもない限り、すべての企業は利益を追求するのが目的です。
しかし、ただただ売上をあげるだけでなく、社会的価値のある存在感のある会社になることで、小さな会社のブランド化は成し遂げられます。
ただ、勘違いしてはいけません。
顧客に愛されるために、強引な値引きや価格競争に巻き込まれてはいけないのです。
値下げによる価格競争に終わりはありません。
一方が下げれば、片一方も下げる。
この繰り返しで、どんどんデフレマインドは加速していきます。
しかし、ここでいう愛される会社というのは、値下げではなく価値を上げるということです。
そうして、多くのお客様に引き寄せてもらう基本的な戦略です。
これは、浜口隆則さんの著書『だれかに話したくなる会社』を拝読する前から、当社の基本概念でした。
まるで、自分たちが20年間やってきた事が、一つのセオリーになったような錯覚に陥り、共感できたことを嬉しく感じた次第です。
日本の9割の会社が中小企業です。
中小企業には中小企業の強みがあることを、再認識された著書でした。