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宣伝のネタ帳

後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

メディア論AIは中小企業に何をもたらすか 〜ゆっくりと訪れるTVの終焉とYouTubeの侵略から考える〜

  • 2025年01月13日
  • コラム

<記事の概要>

かつては家庭の中心だったテレビが、その信頼を失いつつあります。その要因となっているのはネットメディア・ネットコンテンツの台頭です。そこにAI(人工知能)は深く関わっています。

1失われ始めているTVの信頼性

かつて、(地上波)テレビ*1(以下、TV)は「情報の信頼性の象徴」とされていました。
多くの家庭では、家の中心部にTVが設置され、日常の中心にテレビがありました。

しかし、近年その信頼性は揺らぎ始めています。

先日の選挙ではSNSで注目を集めた政党や政治家が票をのばしました。
また、重大なスキャンダルは、TVよりもネット上での情報の伝播は早く、人々はネット上でTVでは得られない大量の情報を得ています。

そんな中、いつしか、人々はTVで流れる情報がネットで流れてくる情報とは様相が異なることに疑問を感じ始めるようになりました。
今、「情報の信頼性」という観点で人々はTVに対して不信感を抱いています。

そのため、TVで報道されなくても、ネット世論が静かにならない限り、スキャンダルの火が鎮火することはありません。ここまでに、影響力がネットが地上波テレビを超えた事は、いままでかつでなかったのではないでしょうか?


この逆転現象を起こした理由の一つには、家でTVをみる人が減ったことがあります。
このことにより視聴率が低下してきました。

これらに影響したのは、SNSやYouTubeなどのリアルタイムで情報が更新されるメディアの台頭です。

次から次へと更新されるネットメディアコンテンツに比べ、TVの報道やエンターテインメントは「遅く、情報の幅が狭い」と感じられています。また、地上波テレビで流れる情報は各局どこも似たりよったりで、多様性のある情報発信とは言い難いものがあります。

特に若年層は、テレビよりもスマートフォンやタブレットを使い、ネット動画やSNSで情報を得る傾向が顕著です。

パソコンと女性これにより、テレビ広告の影響力も減少しています。

かつては「TV-CMを見た」というだけで商品が注目を集めましたが、今ではYouTubeやインスタグラムの広告が、ターゲット層に直接アプローチする手段として選ばれることが増えています。

特に中小企業にとっては、依然としてTV-CMを利用する事は費用の面で難しく、CMでリーチできる層も限定的なため、費用対効果の観点から難しい選択肢であることにかわりはありません。

ようするに、テレビの信頼性が失われつつある背景には、単なるメディアの進化だけでなく、視聴者が求める情報のスピード感や多様性の変化があるのです。

【重要】
当然のことながら、ネットで垂れ流される情報のファクトチェックは重要です。すべてを鵜呑みにすることは危険ですので注意が必要。
*1:地上波テレビとは、電波による無料放送。地上のアンテナを通じて電波で送信され、基本的に無料で視聴できるのが特徴です(※NHKは受信料が必要)。主要な地上波テレビ局は、NHK(総合・教育)/日本テレビ/テレビ朝日/TBS/フジテレビ/テレビ東京/これに加えて、地域ごとのローカル局(例:群馬テレビなど)も地上波放送を行っています。

2持ち運ぶメディア端末

そして、何よりもスマホやタブレットの出現は、私たちの情報の受け取り方を大きく変えました。

今や人々はTVの前に座らずとも、通勤中やカフェでの休憩時間、さらにはベッドの中でさえ、片手にスマホを持って情報やエンタメを楽しむことができます。「いつでもどこでも」が当たり前の時代になり、テレビの「固定された画面」の枠はますます狭まっていると言えるでしょう。

ようするに、限定されたチャンネルで、限定された番組を決まった時間にみる(もしくは、録画してみる)という事にストレスを感じているのです。特に若い世代は、SNSや動画プラットフォームを利用する時間が圧倒的に多く、生活の一部になっています。

TikTokやInstagram、YouTubeなどでは、短時間でコンテンツを楽しむことができ、これがTVから人々を引き離す大きな要因となっています。

さらに、こうしたメディア端末の進化は、中小企業にとっても新たなチャンスを生み出しています。

女性と本以前は莫大な費用がかかるTV-CMが販促の主流でしたが、今ではスマホ向けの動画広告やSNSマーケティングを活用することで、コストを抑えつつ、特定のターゲット層に効率よくアプローチすることが可能です。

例えば、Instagram広告で特定の地域や年代、趣味嗜好に基づいてリーチできる仕組みは、TVにはない柔軟性を提供しています。

人々がスマホやタブレットに目を向ける時間が増える中で、これらの「持ち運ぶメディア端末」を活用した戦略が、企業の未来を左右する重要な要素となるといえます。

3TV画面でYouTubeを見る時代

かつて、家庭のTVは地上波や衛星放送を視聴するための専用の家電でした。

TVのリモコンには地上波キー局のチャンネルだけが割り振られ、限られた数局だけを交互にみている時代が長く続きました。

しかし、現在ではテレビが「YouTubeを見るための大画面」として活用されるケースが増えています。

いまや、家庭のTV画面でみるコンテンツの2位がYouTubeだそうです。ちょっと驚きです。これは、最近のTVのリモコンにはYouTubeやネットフリックスにアクセスできるボタンがついていることが大きな理由だと思われます。TVを購入したら、Wi-Fiにつなげる事が当たり前になりました。

かくいう私も、TV画面ではほぼYouTubeのコンテンツをみています。

スマートテレビやストリーミングデバイス(Chromecast、Fire Stick、Apple TVなど)の普及により、テレビ画面で手軽にYouTubeを視聴できる環境が整ったことで、リビングでの視聴スタイルも変化しているのです。

本を読む女性スマホやタブレットで個人が楽しむYouTubeとは異なり、テレビ画面でのYouTube視聴は家族全員でコンテンツを楽しむ時間を提供します。お気に入りのYouTuberのチャンネルや音楽動画、教育的なコンテンツが、リビングという共有スペースの主役に躍り出ているのです。このような視聴体験は、かつての「テレビ番組を家族で見る」という文化を、新しい形で復活させているとも言えるでしょう。

こうした流れは、企業の販促活動にも新しい可能性をもたらしています。YouTubeを活用した動画コンテンツが、スマホだけでなくリビングの大画面を通じて家族全員に届くことで、幅広い世代に向けたブランドの訴求が可能になっています。

例えば、エンターテインメント性の高い広告やストーリー性のあるプロモーション動画は、テレビの大画面で見た時により大きなインパクトを生み出します。

テレビ画面が「YouTube視聴の舞台」として活用される時代において、動画の質や視聴者を引きつけるクリエイティブなアイデアが、企業の競争力を左右する重要な鍵となるのです。

4YouTubeで音楽チャンネルを立ち上げて分かったこと

実は、昨年の夏より、弊社ではAIを使ったオリジナルの楽曲のYouTubeチャンネルを立ち上げました。

現在、YouTubeは、エンターテインメントの一つとしてだけでなく、音楽業界にとっても新たなプラットフォームとしてその存在感を増しています。これまで音楽活動を始めるには、レコード会社との契約や大規模なプロモーションが必要とされていました。しかし、現在ではアーティストがYouTubeに楽曲やパフォーマンス動画をアップロードするだけで、多くの視聴者にリーチできる時代となっています。

新人アーティストやインディーズミュージシャンがYouTubeを活用することで、自分たちの楽曲を直接リスナーに届けることができるようになったのです。

再生回数や視聴者のコメントからフィードバックを得て、リアルタイムで改善を加えることも可能です。これにより、従来の音楽業界では実現しにくかった「ファンとの直接的なつながり」を構築できるのが大きな強みです。

また、YouTubeは「検索エンジン」としての機能も持っており、ユーザーが「リラックスできる音楽」「作業用BGM」などのキーワードで探すことで、新たなアーティストや楽曲が発見される機会も増えています。

弊社の音楽チャンネルは、「作業用音楽」「集中用音楽」など、BGMに使ってもらうためのオリジナル音楽を公開しています。

こちらは、後日、改めて、その戦略をご紹介します。

通常、チャンネル登録者が1,000人にならないと収益化ができません。そして、登録者1,000人いるチャンネルは、全体の10%しかないと言われています。YouTubeで音楽を始めることで、広告収入や視聴者の支援(メンバーシップやスーパーチャットなど)といった新しい収益モデルが可能となります。

そんな中、初めての取り組みでしたが、1ヶ月で登録者1,000人を達成し、無事、収益化することができました。

音楽とは無念な業務をしてきましたが、AIを活用することで、新しいビジネスチャンスを生み出せるとは、大きな驚きでした。

弊社の音楽チャンネル ➡ Lo-Fi Cinematic Music

5信じられないAIの作曲の力

女性と男性音楽業界素人の我々が、音楽チャンネルを立ち上げることができた理由の一つが、高度なAIの誕生です。
AI(人工知能)は、音楽制作の分野にも大きな革新をもたらしています。

これまで人間の創造力が中心だった作曲の世界に、AIが加わることで、音楽制作の手法が根本的に変わりつつあります。

AIの作曲ツールは、膨大な音楽データを学習することで、瞬時に様々なジャンルの楽曲を生成することが可能です。ポップスやクラシック、ジャズ、EDMといったジャンルに加え、特定のムードやテーマに沿った音楽をリクエストするだけで、プロの作曲家に匹敵するクオリティの楽曲を作り出せます。

例えば、企業が自社のプロモーション動画用のオリジナルBGMを作成したい場合、AI作曲ツールを活用すれば、短時間かつ低コストで制作が可能です。

中小企業や個人が音楽業界に参入するハードルも劇的に下がり、特に自社の商品やサービスに関連する楽曲やテーマソングを自作してYouTubeで公開することで、ブランドの認知拡大やファン層の形成につながる可能性があります。
音楽とビジネスを融合させた新しい試みが、今まさに広がっています。

音楽は、ますます民主化され、創造性の壁を低くすることで、誰もが自由に音楽を楽しみ、作り出す時代へと進化しているのです。

私達もAIを使って、毎日、作曲していますが、そのクオリティには日々驚かされっぱなしです。ぜひ、弊社のチャンネルを聞いてみてください。

弊社の音楽チャンネル ➡ Lo-Fi Cinematic Music

6無限の可能性を秘めた画像生成AI

また、グラフィックデザインの世界で注目されているのが、画像生成AIです。画像生成AIの技術が驚異的な進化を遂げています。

これまでプロのデザイナーやイラストレーターの手を借りなければならなかった高品質なイラストやデザインが、AIを活用することで瞬時に生成可能な時代が到来しました。

わずかなテキストや参考画像を入力するだけで、AIは独自のビジュアルを生み出し、用途に応じたカスタマイズも簡単に行うことができます。

画像生成AIは、単に美しいイラストやデザインを作るだけでなく、消費者の目を引く斬新なアイデアを提案するツールとしても活用できます。特定の商品やブランドイメージに合わせたテーマカラーやトーンを指定すれば、AIはそれに応じた一貫性のある素材を生成するため、広告やSNS投稿に統一感を持たせることが可能です。

一方で、AIが生成したデザインが既存の著作権や文化的感覚に配慮できていない場合もあるため、企業としての監修や倫理的な配慮は引き続き重要です。

現に、弊社が運営している音楽チャンネルのサムネイルやメインビジュアルは、すべて画像生成AIで作成しています。サブスクリプションのイメージフォトサービスも利用していますが、画像生成AIの方が、自分の好みに近い画像を生成してくれるので、重宝しています。

この技術の可能性は無限大であり、今後さらに進化を遂げることで、デザインやクリエイティブの在り方を根本から変える力を秘めています。

画像生成AIは、単なる「ツール」を超えて、中小企業のブランド戦略を支える「新しいパートナー」としてその地位を確立しつつあるのです。

7これから中小企業は何をはじめるべきか

変化の激しいデジタル時代において、中小企業が生き残り、さらに成長するためには、新しい技術やトレンドを積極的に取り入れる必要があります。

限られたリソースを最大限に活用しながら、効果的なマーケティングを行うためのポイントを以下に挙げます。

動画マーケティングの活用

本を読む女性商品の魅力や使い方を「見せる」ことで、消費者に分かりやすく伝える動画マーケティングは、今や欠かせない手法となっています。

商品の制作プロセスや実際に使用しているユーザーの声を動画で紹介することで、消費者に「信頼感」と「親しみ」を与えることができます。

特に、昨今のスマホの機能向上は動画制作に大きな影響を与えています。
スマホで動画を作成し、そのままスマホで動画編集まですることができるようになっています。
かつては動画編集に高額な外注費用がかかっていましたが、簡単な動画であれば安価に動画を作成することが可能になっています。

特に、YouTubeやInstagram、TikTokなどのSNSを活用した配信は、広告費を抑えながらも広範囲のターゲット層にリーチ可能です。
また、短い動画(15秒~1分程度)を作成することで、通勤中や休憩時間に視聴されやすいコンテンツとして機能します。たとえば、「○○の使い方3選」や「製造の裏側を覗いてみよう」といったテーマは、商品の価値を直感的に伝えるのに効果的です。

AI活用でブランドストーリーを強化

AIは、中小企業のマーケティングを支える強力なパートナーになり得ます。

AI作曲ツールを使えば、ブランド独自のテーマソングや広告用BGMを簡単に作成することが可能です。これにより、企業の個性をより強く打ち出すことができます。

さらに、画像生成AIを活用することで、商品のカタログデザインや広告用のビジュアル素材を手軽に作成できます。

例えば、季節ごとのキャンペーンに合わせたデザインや、ターゲット層に響くビジュアルをスピーディーに制作することができます。これにより、コスト削減とデザインの一貫性を両立しながら、ブランドのストーリー性を視覚的に強化することが可能です。

多様な広告プラットフォームの利用

本と助成従来のテレビや新聞広告だけでなく、デジタル広告やインフルエンサーマーケティングを活用することで、より効果的にニッチな市場へアプローチできます。

特にYouTube広告は、視聴者の興味や検索履歴に基づいてターゲティングが可能で、費用対効果が高いのが特徴です。

また、InstagramやTikTokなどで活躍するインフルエンサーと連携することで、より親近感のあるプロモーションを実現できます。たとえば、地元の小規模ブランドが地域に密着したインフルエンサーと提携し、地元消費者にリーチするなど、規模に合った戦略を立てることが重要です。

中小企業が今取り組むべきことは、「コスト効率」と「顧客とのつながり」を重視したアプローチです。動画コンテンツを通じたストーリー性の強化、AIを活用した独自性のあるマーケティング、多様な広告プラットフォームの柔軟な利用により、小規模ながらも効果的な成長が期待できます。

これからの時代、中小企業が成功する鍵は「創意工夫」と「デジタルツールの活用」にあるのです。

8愛あるAI

仲間AI(人工知能)は、単なる効率化のツールにとどまらず、人間の感性やストーリーを補完する「新しいパートナー」としての役割を担いつつあります。

その進化によって、AIはデータ解析や自動化だけでなく、クリエイティブな分野でも力を発揮し、私たちのアイデアや感情を表現する手助けをしてくれるようになりました。

私達のようなデザイン会社も、デザインの知識を活かしながら、AIを取り入れ、より一層、高品質なクリエイティブを提案できるようになっています。

中小企業がAIを活用する上で重要なのは、「AIを通じて消費者と感情的なつながりを築く」ことです。

単に機械的な作業を効率化するだけではなく、AIが提供するクリエイティブな可能性を活かして、ブランドの温かみや人間らしさを伝える取り組みが求められます。

例えば、AI作曲ツールで制作した企業独自のテーマソングや、画像生成AIで生み出したビジュアル素材に、企業のストーリーやメッセージを込めることで、消費者に「企業の思い」を届けることができます。また、チャットボットを活用して顧客との対話をパーソナライズすることで、一人ひとりのニーズに応えた温かい対応が可能になります。

特に中小企業の場合、規模の小ささを補うために「人間らしさ」や「親しみやすさ」がブランドの重要な魅力となります。

AIは、その魅力を広げるツールとして大きな可能性を秘めています。

ただし、AIはあくまで「補完する存在」であり、その中心にあるべきなのは「人間の思い」や「温かみ」です。

AIを活用して効率化を図るだけではなく、企業としての思いや情熱を届ける手段としてAIを使うことで、消費者に感動を与え、企業と顧客の間に信頼を築くことができます。

愛を持って消費者と向き合い、AIを活用した温かみのあるプロモーションで、企業としての魅力を広げていく時代が、すでに訪れているのです。

当社では、AIを使ったご提案などを行っていますので、お気軽にご相談ください。

後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

後藤 ようこ取締役副社長

スキル

  • ランディング(執筆)
  • ディレクション
  • コンサルティング

大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。

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